日本の名俳優であった梅宮辰夫さんが慢性腎不全のため81歳で亡くなられました。これまで梅宮さんはがんで手術を6回受けていました。以前から闘病中だとは聞いていたものの、メディアで拝見する梅宮さんはいつも笑っていて元気そうでした。それだけにとてもショックですね。
では死因となった慢性腎不全とはどのような病気なのか、また私の家族が同じ病気で闘病中のため、慢性腎不全の治療方法や透析生活について、実際に行ったことや注意していることについて紹介したいと思います。
慢性腎不全ってどんな病気?
慢性腎不全は腎臓という臓器が正常に働かなくなる病気のこと。
腎臓は、背中側の腰上あたりに左右1つずつあり、健康な腎臓だとそらまめのような形で握りこぶしくらいの大きさをしています。
私たちの体でどんな役割をしているかというと、主に心臓から運ばれてきた血液をろ過し、老廃物は尿として外に出すことによって、血液中の成分を一定に保つなどの仕事をしています。
どんな症状?
ところが腎臓の機能が低下してしまうと以下のような症状が出ます。
- 水分が体にたまる…むくみ(浮腫)、高血圧、低ナトリウム血症、肺水腫
- 老廃物が体にたまる…尿毒症(食欲低下、吐き気、嘔吐、意識混濁、けいれんなど)
- 電解質が体にたまる…高カリウム血症、高リン血症
- 血液に酸がたまる…呼吸が速くなったり、電解質バランスが崩れる
- ホルモン異常…貧血、骨がもろくなる、高血圧
*出典元:全腎協
慢性腎不全の特徴として、初期はほとんど自覚症状がないということですが、夜間尿、貧血、倦怠感、むくみ、疲れ、息切れなどを感じるようになるとかなり進行しているということになります。
自覚症状がないうえに、慢性腎不全はゆっくりと機能が悪化していくため1度腎臓の機能が低下してしまうと、回復の見込みはほとんどないということです。そのため、日常生活に気を使っていたとしても早期発見することが難しい病気であると言われています。
しかし、早期発見をするために尿検査や血液検査を定期的に受けることで、より早く発見し腎臓の悪化を遅らせることができます。
原因は?
済生会和歌山病院の公式サイトによると、原因は肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病が大きく関わっていると言われています。特に高血圧から進行することが多いため、腎臓病に進行する疑いのある病気にかかっている場合は、尿検査を受けることがすすめられています。
私の家族も慢性腎不全と診断され長い間(おそらく5年以上)治療しています。もともと高血圧で糖尿病にも近い状態でした。家族の実体験を踏まえて、実際に慢性腎不全と診断されたらどのような治療をするのか見ていきたいと思います。
治療方法は何?
まずは慢性腎不全の原因である病気(糖尿病や高血圧など)を改善することが大切です。慢性腎不全が進行し、腎機能が悪化すると回復することがほとんどありません。末期になると最終的には、腎臓にたまった老廃物を除去するために人工透析に通うか、腎臓移植をするかの2つの選択になります。
治療の目的は2つ
自覚症状がないところからゆっくりと機能が低下していく慢性腎臓病。腎臓病にも種類がさまざまあり、個々の進行度によっても治療内容は変わります。治療の目的は2つです。
- 腎臓の悪化を防ぎ、少しでも透析へ治療への移行を遅らせること
→薬物療法、食事療法、日常生活の心がけ - 合併症の予防をすること
→主治医、栄養士と相談
各治療方法については、個人の進行レベルや性格などを踏まえて主治医と相談します。詳しい治療方法は全腎協のホームページで確認することができます。
梅宮辰夫さんの闘病生活
梅宮辰夫さんは今まで6回のがん手術を受けてこられたとありました。
- 睾丸がん(30代)
- 肺がん(30代)
- 胃がん(2012年)
- 十二指腸乳頭がん(2016年)
- 前立腺がん(2018年)
- 尿管がん(2019年)
これだけの手術をして80歳過ぎまで立派に生きてこられたなんて、本当にすごいなと思いました。そして長期間さまざまな病気にかかって、一緒に闘ってきた梅宮さん家族は本当に辛かっただろうなと思います。梅宮さんの所属事務所によると、亡くなる前日も人工透析を受け、普段どおり生活していましたが、自宅で容体が急変しそのまま運ばれた病院で帰らぬ人となりました。
梅宮さんは昨年から人工透析を始めており、月、水、金曜の週3回で、午前7時に自宅を出て午後1時に帰宅していたと娘の梅宮アンナさんが明かしています。また「本人がいちばんストレスを感じている」、「自分の腎臓を1個あげようかと思った」と腎臓移植を望んでいたような発言もされていました。
私の家族が選択したこと
実は私の家族も、数年前(60代後半)に慢性腎不全と診断され、薬物療法、食事療法、日常生活の過ごし方の指導がありました。今は一緒に生活しているわけではなく、年に数回会うのですが、一見すると病気を患っている人には見えないため厄介な病気だなと感じました。
食事療法では、塩分やカリウムなどカロリーを制限した食事をしなければならず、今まで大好きだったお酒や食べ物を我慢することになり、そのせいか友人との付き合いもかなり減ったように思います。病気の症状で苦しむというよりは、今まで食べていたものが制限されることによって、自由に外食したり旅行したりすることが減り精神的に辛いのかもしれません。
複数の薬を服用しながら日常生活を送り、病気の知識を得るために講演やセミナーに参加したり、ハリ・灸(腎臓病に効果的だと言われた有名なはり灸師)に通ったり、ヨガや瞑想を始めたりとできる限りのことをしてきたと思います。
長年通っていた大学病院と、セカンドオピニオンのため他県の有名病院へも通い治療を受けていました。ところがついに末期になり、ほとんど腎臓が機能していないと診断されてしまったのです。そう診断される数か月前に、あらかじめ(何かあった時のため)すぐに人工透析を行えるようにバスキュラーアクセス(血液の出入り口)を作る手術をしました。
その当時は、生体腎移植を希望していて腎臓をあげる予定の家族も一緒に検査を受け、手術の待機をしていました。ところが最終的には、生体腎移植ではなく人工透析を続けて生きていくことを決めたのです。
なぜ、そう決めたのかという明確な理由はわかりませんが、おそらく心臓移植などとは違って、「腎臓移植は腎臓を他人からもらっても根本的に慢性腎臓病を治すことにはつながらない」と感じたからではないかと考えます。
それに、それまで恐怖を感じていた透析治療が始まると、思っていたより良かったと実感したからではないかと思います。往復2、3時間病院に週3回通っていた頃に比べると、同じ週3回、1日4時間程の地元のクリニックの透析に通っている今の方が、明るく元気に見えますね。
透析に恐怖や苦痛などのイメージがあったのですが、昔より透析の技術は良くなっていて治療中はベットに横になりながらテレビを見たり本を読んだりと、結構リラックスした良い時間を過ごしているようです。
透析することによって今まで大きなストレスを感じていた食事制限が緩くなり、体も動かすことができるようになったので生活の質が上がったように思われます。本人がやりたいことを楽しめるということに今は幸せを感じているようです。
まとめ
以上、梅宮辰夫さんの死因である慢性腎不全とはどんな病気か、その治療方法と透析生活を家族の体験からお伝えしましたがいかがでしたか?
慢性腎不全を予防するためには、まず肥満、糖尿病などの生活習慣病にならないようにすることが大切ですね。実際私の家族は、末期の慢性腎不全になり透析治療を受けていますが、いざ受け入れてしまってからは、上手く付き合って楽しく過ごそうという前向きな気持ちになったと思われます。ただ、合併症や感染症などの心配もあるので油断はできません。
亡くなられた梅宮辰夫さんのご冥福を心よりお祈り致します。
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