韓国の朝鮮半島の一番下にある全羅南道の麗水(ヨス)。2012年に麗水国際博覧会が開催された場所です。ヨスには梧桐島(オドンド)という椿の花で美しい島があったり、韓国一の日の出の名所と言われる日向庵(ヒュンイラム)、半島と島をつなぐ海上ケーブルカーなど見どころが多い観光地なのです。特に夜景がロマンティックで、K-POPの歌詞にも「ヨスの海」なんてよく出てくる有名な海の街なんです。何といっても海の幸が豊富で料理が美味しいため、韓国で人気の観光地の一つでもあります。
私は韓国に10年ほど住んでいますが、久々にヨスでこれは美味しいな!と素直に思えたのが「はもしゃぶしゃぶ」。韓国人もなかなか食べることがない珍しい料理だそうです。ヨス観光の際にぜひおすすめしたいと思い、一体どんな料理なのか、その独特な食べ方も一緒に紹介します!
韓国でうなぎは普通どうやって食べる?
韓国でもうなぎを食べるのですが、日本の土用の丑の日のように「うなぎを食べる習慣」というものは無いように思われます。韓国にも日本の「土用の丑の日」に値する「伏日」があります。その伏日には、韓国人は参鶏湯(サムゲタン)を食べる習慣がありますが、うなぎを食べるという人も少なからずいるようです。
韓国でうなぎを食べたかったら、うなぎ専門店やうなぎ料理店に行って食べることが多いです。お店自体は探せば結構あるんですよ。うなぎは韓国でも高級料理で、滋養のある食べ物と認識されています。そのためうなぎを好んで食べる方も結構いらっしゃいます。
またスーパーでもうなぎを買うことができます。が、ほとんどの商品が冷凍です。冷凍のものは全てのスーパーにあるのではなく、需要のある大型のスーパーに売っているという感じです。インターネットで検索すると、天然うなぎを㎏単位で買えるところもありました。
では韓国でうなぎはいくらで売られているのでしょうか。韓国国内産のうなぎだと大体1kg約40,000〜50,000₩(約3,600〜4,500円)です。うなぎの大きさも小〜特大まで様々です。詳しくはSSG.COMの国内産うなぎ1kgを参照してみてください。
最近スーパーで手頃な値段で日本の蒲焼きのような商品もあります。こちらは150gで両手の平に収まるくらいの大きさで、15,000₩(約1,350円)くらいで売っています。よく見るとこちらは中国産です。
では韓国のうなぎ専門店で食べるといくらなのかというと、大体1人分300gで25,000₩(約2,245円)前後のお店が多いようです。
韓国のうなぎは数種類!?
韓国語でうなぎは「장어(ジャンオ)」と言います。日本人が好きなあのうなぎは韓国では「민물 장어(ミンムルジャンオ)」。でも韓国でうなぎの店を探していると、「○○장어(○○うなぎ)」という「うなぎ」が付いた言葉が何種類かあって本当にうなぎなのかすごく怪しいのです。調べてみると、
- 민물 장어(ミンムルジャンオ)=うなぎ
- 봉장어,바다장어(ボンジャンオ、パダジャンオ)=あなご
- 갯장어,참장어(ゲッジャンオ、チャムジャンオ)=はも
- 먹장어,곰장어(モッジャンオ、ゴムジャンオ)=ぬたうなぎ
そうだったのか、これで私もすっきりしました。見た目は同じようですが全然違うものでしたね。お店によっては「アナゴグイ」と言ったりしていたので、日本から入ってきたため、韓国でもそのままアナゴと呼んでいるのかと思っていました。
ちなみに「○○グイ」というのは「○○焼き」という意味です。うなぎ店のメニューにはよく「소금구이(ソグムグイ)」塩焼きと「양념(ヤンニョムグイ)」照り焼き、薬味焼きがあります。たれは韓国特有の甘辛であることが多いです。
ん?「ぬたうなぎ」って聞きなれないですよね?これはうなぎなのか、見た目も赤っぽくって偽物感が漂います。
実は私が現在住んでいる釜山では名物料理の一つに「ぬたうなぎ」があります。ぬたうなぎの店が結構あるのですが、店頭にある水槽で泳ぐぬたうなぎを見ると、どうしても躊躇してしまいます。でも1度食べたら虜になってお酒のおつまみに最高なのだとか。
話は逸れましたが、ぬたうなぎは後日挑戦してみたいと思います。今回私がヨスで食べたのは実は3番目のチャムジャンオという事で「はも」でしたが、はもも含めて一般的に韓国ではどのようにしてうなぎを食べるのかを紹介したいと思います。
韓国式のうなぎの食べ方
うなぎのお店に入ると、普通の焼き肉屋と同じようにテーブルの真ん中に鉄板があり、看板を見なかったら焼き肉屋かと思ってしまいます。
日本ではうなぎの蒲焼きのように、うなぎのたれが塗られた茶色いものを想像しますよね。私も韓国でうなぎを食べに行った時は、そのようなうなぎを想像していたのですが、注文して出てきたうなぎは生で真っ白。
まず、たれの付いていない生のうなぎを鉄板で焼きます。もちろん日本ではうなぎを自分で焼くということはしたことがないですから、自分でうなぎを焼いて食べるなんて何だか贅沢な感じもしました。
韓国ではうなぎを丸ごと鉄板でお肉のように焼いて、いつも通り調理ばさみで一口サイズに切り分けます。それからサンチュに焼いたうなぎを乗せて、好みでサンジャンというソースを付けたり、にんにくスライスや唐辛子を乗せたりして包んで食べるのです。
焼き肉がうなぎになっただけじゃん!という感じですね。韓国では刺身も同じように葉野菜に包んで食べるんですよ。
野菜も一緒に食べられてヘルシーでいいのですが、素材の味をじっくりと味わうというよりかは、お酒のお供という感じがしてしまいます。
私はサンチュで包まないで、焼きうなぎに少し塩をつけて食べるだけでも美味しいと感じました。中にはマヨネーズやコチュジャンにつけたりして食べる方もいます。
しかし生のうなぎを炭焼きや鉄板焼きすると、日本の蒲焼きのようなふっくら感はあまり感じられません。そのせいか子どもたちには若干食べづらいかもしれません。
韓国では近年日本食が流行り続けているせいか、韓国のスーパーやインターネットで日本式のうなぎの蒲焼きのように加工された商品を手に入れて食べることもできます。
久々に感動したヨスの料理とは?
今回私が韓国のヨスで食べたうなぎ(実ははも)は韓国の普通のうなぎの食べ方とはちょっと違ったんです!
私が行ったヨスのお店は義母の行きつけで、しかも今回は義父のお誕生日祝いということでこのお店を訪れました。実は義父はうなぎが大好きでお誕生日はうなぎ焼きを食べに行くことが多いのです。
そこで今年のお誕生日は、なかなか食べることのない「うなぎしゃぶしゃぶ」をヨスまで足を延ばして食べに行ったのです。韓国語でもしゃぶしゃぶは「샤브샤브(シャブシャブ)」と言うので、「ジャンオシャブシャブ」というメニューを予約していました。今回は義母が常連ということで色々とおまけしてくれたため、実際のメニューと少し異なっていたと思われます。
料理を注文して出てきたおかずの多さにびっくりしました!私の韓国在住史上最多レベルではないかと思いました。その一部が下の写真です。
メインのはもが出てくるまでに、おかずも美味しく頂き結構満足しました。子どもたちが食べられるものも沢山あり、なぜか甘いお餅もありました。義父がお誕生日だったからかなと思います。
お店の前はすぐヨスの海。夜景が美しいと言われる「突山大橋(トルサンデギョ)」も望めます。パンチャンの内容も都市部と違って海の幸が豊富で新鮮でした。
そしてメインのはもしゃぶしゃぶの登場です。このお店のはもは天然物の韓国国内産と書いてありました。しゃぶしゃぶするスープには、韓国らしく漢方のデチュ(ナツメ)が入った健康的なだしスープが出てきました。沸騰するまで野菜を入れて待ちます。
スープが沸いたら、はもを投入。豚しゃぶの場合はさっとお湯に通すだけですが、ここのはもは肉厚だったため、何分かスープにくぐらせお花のように身が開いたら食べごろです。日本の「はも湯引き」と似ていますね。
そして、花開いたはもしゃぶしゃぶをサンジャンに付けて、なんと生の玉ねぎの上にのせて食べるのです!生玉ねぎは一口サイズのものがサンチュなどと一緒に出てきます。食べる時はお好みで。
韓国では油っぽいものを食べる時に、生野菜と一緒に食べることが多いですが、はもと生玉ねぎの組み合わせは、一緒に食事をしていた家族も初めてで知りませんでした。
生の玉ねぎを直接食べると、少し辛味があって口が臭くなってしまうのではないかと思いますが、ここで食べた玉ねぎは、生でも甘みがあり新鮮ではもとの相性が抜群でした。
はもに付けるたれは2種類ありました。一つは上の写真のサンジャン。お店のオリジナルでネギ、ゴマ、青唐辛子のみじん切りが入っていました。もう一つはポン酢のような味で、ゴマ、刻んだネギが入っているものでした。
サンジャンは葉野菜や生玉ねぎと一緒に食べると美味しいです。ポン酢のたれは、鍋で茹でた野菜とはもしゃぶを葉野菜で包まずそのまま食べる時に付けると美味しいです。
家族がはもしゃぶを堪能していると、お店のおばちゃんが出てきて、この地域でははもをこのようにして食べるんだよとおっしゃっていました。
普段感じることのできないその地域独特の文化を知ったようで、ちょっと遠出して食事しに来ただけなのにヨス旅行しに来た気分になりました。ヨスで食事するなら絶対にまた来たいと思うくらい美味しかったですし、お誕生日でもない私が1番食べたような気がします。
ヨスのお店はどこ?
今回訪れたのは、ヨスのこちらのお店です。
韓国語で「횟집(フェッチッ)」というのは刺身料理店の事です。このお店はお刺身も食べられるところなのですが、はもしゃぶで有名だそうです。周りには似たようなはもしゃぶを食べられるお店があります。
- 店名:다모아횟집(ダモアフェッチッ)
- 住所:전남 여수시 돌산읍 우두리 806-8 全羅南道 麗水市 突山邑 右斗里 806-8
- 電話番号:061ー644ー8181
- 営業時間:毎日10:00〜21:00
- 駐車:お店の前に広い駐車場あり
場所は上のコネストの地図から日本語で確認できます。ヨスでも最も美しいとされる日の出や夜景が美しい「突山島」にあります。観光の際は、レンタカーかタクシーなど車で行くのが便利です。
気になるはもしゃぶのお値段なのですが、義母が常連&義父のお誕生日ということで、大人8人でしたが250,000₩(約23,500円)で合わせてくれたのだと思います。
私たちは2つの鍋ではもしゃぶを堪能した後、一つの鍋には残ったスープにカルグッスという韓国のうどんを入れて、もう一つの鍋にはインスタントラーメンの麺を入れて〆ました!
おかずもはもしゃぶも食べてお腹いっぱいだったので、麺で〆ましたが、ご飯を入れておかゆで〆ることもできます。
またSNSにこのお店ダモアフェッチッを投稿すると、2,000₩(約180円)割引になるというイベントもやっていたので旦那が投稿してしっかり割り引いてもらいました。
ヨスに来たらぜひ!
韓国のうなぎの種類や食べ方、ヨスで食べた絶品のはもしゃぶについて紹介しましたが、いかがでしたか?日本ではあなごやはもなどの種類によって食べ方が色々ありますが、韓国では基本的にうなぎ類はお肉のように焼いて食べることが多いです。
そんな中で出会ったヨスのはもしゃぶは、韓国スタイルではありますが海が目の前のヨスで食べるからこそ、さらに美味しく感じるのだと思います。ヨスに行ったら、はもしゃぶ絶対おすすめです!
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