15年以上のエレクトーン経験者が伝えるエレクトーンの魅力と練習方法とは?

エレクトーンって知ってますか?聞いたことはあるけど、あれでしょ、電子オルガンみたいなやつでしょ?ってな感じで思っていませんか?

最近では826askaさんのYouTubeでの演奏動画やテレビでの出演が話題となりましたね。エレクトーンのことがたくさんの人に知られて私も嬉しいです。なぜなら、私も3歳からヤマハで音楽を習い始めて20歳くらいまでエレクトーンを習い、小学生の頃は時間さえあればご飯を食べるのも忘れるくらい、ずっと弾いていました。

現在私んが住んでいる韓国にもヤマハが進出していて音楽教室もあります。しかし、まだまだ知られていないようです。エレクトーンって一体何がおもしろいのか、もっと沢山の人に魅力をわかってもらえるよう紹介したいと思います。



一人でスケールの大きい演奏が叶う楽器

エレクトーンはヤマハが開発販売している楽器です。そのため世界的に誰もが知っているピアノと違い、ヤマハ関係のお店や音楽教室などでその楽器を見ることができます。

見た目からもわかるように、2段の鍵盤、ペダル、沢山のボタンがズラッと並んでます。両手を使って、さらに左足(たまに両足)で同時に演奏します。

楽器の音はもちろん打楽器、人の声などなんでも出せるし、複数の音を同時に奏でることもできます。鍵盤を叩く強弱だけでなく、揺らせばその通りに音も揺れます。すごく自由な楽器ですよね。

そして見たことある方はわかると思いますが、リズムや音色、サポート演奏などが「レジストデータ」に入っているので、それを再生して弾けば、1人でオーケストラみたいにダイナミックな演奏ができるというわけです。

レジストデータは買えるので、難しい操作ができなくても、子どもでも弾きたい曲を気軽に本格的に演奏できちゃうんです。楽譜が読めてある程度演奏に慣れたら、エレクトーンはすごく楽しめる楽器だと思います。

レジストデータって何?

エレクトーンは、上鍵盤の音は1度に4つの音を設定でき、下鍵盤とペダルにはそれぞれ2つの音を同時に設定できるようになっています。レジストデータとはその曲の「音色」や「リズム」を組み合わた情報のことを言います。

曲を弾くときに、自分で音を組み合わせたり、設定してもいいのですが、ものすごい種類の音色やリズムパターンがあり、いざやってみようと思っても、どの音やリズムを選んでいいのかわかりません。

そんな時に役に立つのが「レジストレーションメニュー」という機能です。最新のエレクトーンには、上鍵盤、下鍵盤、ペダルの音色とボリューム、リズムがすべて設定された状態のレジストデータのメニューが300種類内蔵されているんです。

なのでレジストレーションメニューのボタンを押して、今から弾く曲のジャンルを選択すれば、細かい設定なしに、すぐに演奏できるっていうわけです。

実はエレクトーンってパソコンと同じなんです。エレクトーンで作った音やリズムは保存することができます。エレクトーン自体にも保存することができるのですが、レッスンなどで他のエレクトーンで弾いたり、持ち運んだりできるように「USBフラッシュメモリー」を使ってレジストデータを保存します。

私の幼少時代に使っていたエレクトーンは、「フロッピーディスク」を挿し込むところがあって、そこにフロッピーディスクを入れてレジストデータを保存したり、保存したものをエレクトーンに読み込んだりしていました。進化していますね。

USBに保存する前に、自分で作ったりアレンジしたりした音やリズムを保存するときは、どこに保存するかというと、上鍵盤と下鍵盤の隙間にあるボタンに記憶させます。パソコンでいうフォルダのようなものです。

ここに自分で弾きたい音やリズムを作ったら一時的に保存することができます。番号があるので、弾いている途中に自分で押したり、右足のペダルの切り替えスイッチを小指側に蹴ると切り替えることができます。

このボタンに保存した場合、電源を切ったり他のデータを読み込むとなくなってしまうので、USBに保存しておけば、また使いたいときにエレクトーンに読み込ませて使えるということです。

また、プロが作ったレジストデータを買うこともできます。音色やリズムが入ったレジストデータの他に、必要の場合には「サポート演奏」や「参考演奏」のデータも選択して買うことができます。

「サポート演奏」とは、自分で弾く演奏の他に、収録された音源を同時に再生して演奏をより豪華に演出するためのデータです。例えば、カラオケでは自分が歌うパート以外に効果音やコーラスが入っていますよね?サポート演奏には自分が弾く演奏以外のメロディーや伴奏が入っていて、まさにエレクトーン演奏のカラオケとも言えます。

自分の演奏だけだと物足りなかったり、まだ難しい曲が弾けなかったりしても、サポート演奏を再生して弾くことで、その曲をよりリアルに再現でき楽しむことができます。

「参考演奏」とは、自分が練習している曲のお手本の演奏が収録されているデータのことです。

音やリズムの情報が入ったレジストデータ、演奏を豪華に飾るサポート演奏、お手本の参考演奏は、楽譜とは別売りでネット上で買うことができます。もちろんヤマハの楽器店や書店などでも買えます。

 

プロが作ったレジストデータを買う方法

レジストデータを買う方法は2つあります。

①パソコン上でオンラインショップで買う

パソコンで購入する場合は以下の2つのサイトで買うことができます。どちらのサイトを利用するにしても、まず専用ソフト「ミュージックソフトダウンローダー」をあらかじめパソコンにダウンロードしておく必要があります。

ヤマハのデータは著作権で保護されているため、また通常のデータとしてパソコン上で扱うと、データが崩れてエレクトーンで再生できなくなる可能性があるためです。

  • ヤマハミュージックデータショップ
  • ぷりんと楽譜
    買いたい商品を検索しカートに入れ決済する
                             ↓
    決済完了画面のダウンロードボタンをクリック
             ↓
    「ミュージックソフトダウンローダー」が起動するので、ダウンロードされた購入済みのデータをUSBに転送する

どちらのサイトも、レジストデータ、サポート演奏、参考演奏、楽譜がダウンロードできます。ダウンロードしたデータを他のファイルや他のUSBに移動するときも「ミュージックソフトダウンローダー」上で行う必要があります。

②ヤマハの楽器店などにある「Muma」設置店で買う
まずMumaの画面で買いたい商品を検索してカートに入れる
      ↓
「オーダーシート」を印刷する
※商品の料金はMuma設置店のレジで払います
      ↓
レジで支払いしたら「Muma購入パスワード」をもらう
      ↓
再び画面で「購入した商品を受け取る」を押す
      ↓
用意しておいたUSBをMumaの差し込み口に差してダウンロードする

データをUSBに移動したら、エレクトーンの本体にUSBを差して、エレクトーンの中央画面にUSBに入っている曲名が表示されるので、複数ある場合は弾きたい曲を選んでから弾くだけです。

エレクトーンには機種が色々ありますが、データを購入する時は自分が練習するエレクトーンの機種のデータを買います。また、他の機種のデータを同じUSBに保存すると、データが崩れてしまうことがあるので注意が必要です。

 

どうやって練習するの?

両手と足で同時に演奏しているのを見ると不思議ですよね?一体どうやってあんな風に弾けるんだろうと、初めて見た人は思うかもしれません。エレクトーンを弾く時は以下のようにパートが分かれています。

  • 右手:メロディー(上鍵盤)
  • 左手:伴奏(下鍵盤)
  • 足(ペダル):ベース

エレクトーンは、一人で3つの楽器を同時に演奏しているのと同じなんですね。ですから、楽譜もピアノのような2段譜ではなく、3段譜になります。一見難しそうに思いますが、練習は他の楽器と同じです。右手、左手、足のパートを一つずつ練習していきます。それぞれができるようなったら、左手と足→両手→右手と足というように2つのパートをそれぞれ合わせていきます。これもできたら3つのパートを合わせて練習します。

エレクトーンというとヒット曲や映画曲をイメージするかと思いますが、ピアノで弾くようなメヌエットやトルコ行進曲などのクラシック曲も弾くんですよ。最初はピアノと同じように、楽譜についての勉強から始めて、音階や調について学び、右手、左手、ペダルを合わせて弾けるようになったら、ヒット曲やディズニー曲、映画曲など、レジストデータを使って豪華な演奏ができるようになります。

ヒット曲などのリズムと合わせる曲も練習方法は同じです。右手、左手、足を合わせて弾けるようになったら、曲のテンポを規定の速さで弾けるように練習します。さらにレジストデータのリズムに合わせて弾く練習もします。

ここでとっても便利なのは、演奏したい曲の参考演奏のデータを利用することです。エレクトーンで参考演奏を再生して、お手本となる演奏を聞いて確認しながら練習することができます。また、参考演奏のメロディーパートの音を消して聞くことができるので、自分が参考演奏の伴奏に合わせて右手のパートの練習をすることができます。他のパートも同じようにできます。

また、一人で3段の楽譜を見ながら同時に演奏していくと、タイミングが合わなかったり単独ではできるのに、一緒に弾くとずれてしまう時があります。そんな時に、参考演奏を聴けば、耳でタイミングを確認できます。さらに、エレクトーンには自分の演奏を録音する機能もあるので、録音ボタンを押して演奏をし、その後録音したものを再生して自分の演奏を客観的に聞くことができます。

このような機能は練習にとっても役に立つし、参考演奏のように早く上手に弾けるようになりたい!という気持ちになりますね。練習で大事なのは、焦らず一つ一つ積み上げていくことです。

 

JOCに参加した時のこと

私が本格的にエレクトーンを始めたのは6歳ころでした。あまりにも弾くのが大好きだったので、12歳くらいの時に「JOC(ジュニアオリジナルコンサート)」に出てみないかということになりました。ヤマハホームページによると、JOCとは、15歳以下のヤマハ音楽教室で学ぶ子どもたちが、自分の心で感じたことを曲にして、自分で演奏するコンサートとあります。

え?私は3回コンサートに出ましたが、1度も作曲した記憶がありません。なぜかというと、当時〇十年前は作曲ではなく、もともとある曲のアレンジだったような気がします。アレンジはほとんど個人レッスンの先生がしてくれていましたが、一緒に音やリズムを作ったり、曲の構成を一緒に考えたりしました。この時に音色やリズムの作り方や操作方法の指導も受けました。

コンサートに出るからには、普通の練習だけではとうてい足りません。なので、週1回30分のレッスンが週2回になり、それに加えて、本番で使うエレクトーンが家にはなかったので、個人で音楽教室にお願いして、当時1時間500円で空いている教室を借りて練習していました。本番前は、先生の空いている時間に、先生がその日レッスンしている別の音楽教室に行って指導も受けました。

私が最後に参加したときは中学生で、ジャズの曲でした。まだジャズなんて馴染みがなかったので弾くにはとても難しくて、ジャズのリズムを体で覚えて、その曲の雰囲気を表現するのに苦労しました。

例えば、サックスのメロディーを表現するために、実際の音を聞いたり動画を見たりして、サックスの演奏者が出す音をエレクトーンでも出せるように、サックスを吹くときの息づかいを表現をするため鍵盤を強く押したり弱く押したり、ビブラートをかけたりして弾く練習をしました。

今思うと、当時の私には難しくて消化するだけで一杯一杯、本番でも緊張して間違えないように弾くことで精一杯だった記憶があります。JOCに出ている他の演奏者たちは、小学生でもプロ並みに演奏し、表現力も技術もすごい子たちがたくさんいました。まだ6歳くらいの小さな子が両手両足を使って、ダイナミックに演奏しているのを見てとても刺激を受けました。

JOCで賞は取れませんでしたが、このコンサートに出たことは私にとってとても素晴らしい経験になりました。まず、ただ好きなだけ弾いていたのが、目標を持って練習して弾くことにより、一気にエレクトーンの技術や曲の表現力が上達したことです。

そして人前で一人で演奏をするという経験をすることで、練習の大切さや緊張したときにどうすればよいかなど考える機会にもなったし、度胸も付きました。

 

子どもにエレクトーン

エレクトーンって子どもにとったら、何に見えるでしょうか?エレクトーンにはボタンがたくさんあるので、子どもだったらきっと押しまくって音が変わることに夢中になるのではないでしょうか。

鍵盤がピアノより軽いので、手が小さかったりまだ指に力がない子どもはエレクトーンをやってみてもいいと思います。私も小さい頃はピアノをやりたいと言ったそうですが、手が小さくて力が入らなかったのでエレクトーンから始めました。

エレクトーンは自分の好きな曲を、サポート演奏を利用したり本物そっくりの楽器の音を出せるので、早くから音楽を楽しめるきっかけになると思います。私はエレクトーンを先に始めたおかげで、音楽は楽しいということを体感していたので、練習でつまずくことが多いピアノもすんなりと受け入れ楽しめました。

実家には愛用していたエレクトーンがまだ置いてあるので、帰省した時には子どものおもちゃみたいになってます。子どもたちは、好きな音を押しているうちに楽器の名前を覚えたり、陽気なラテンのリズムに合わせて踊ったり。8歳の長男は、リズムを鳴らして適当に音を押してるだけで、完全になりきっています。

子どもたちはディズニー曲が好きなので、弾いて聞かせてあげたり、面白い音があったら、どんな名前で何の音なのか調べてみたりしています。音楽って自由で楽しいものなんだということをエレクトーンを通して感じてくれたらなと願っています。

 

エレクトーンが子どもにおすすめな理由

音楽を子どもにやらせたいと思っているなら、以下の点でエレクトーンがおすすめです。

  • 鍵盤が軽いので手が小さくて力が入らなくても始めやすい
  • 幼児など早くからレッスンを始めることで音感やリズム感がつく
  • サポート演奏を利用して、リアルな音と多彩なリズムで音楽の世界を楽しめる
  • エレクトーンには幅広いジャンルの音やリズムがあるので、様々なジャンルを体験、挑戦できる
  • 音楽が好きな子なら誰でも楽しめる楽器なので習う価値がある
  • 楽器やリズムがたくさんあるのでその名前を覚えられる

もしピアノかエレクトーンで迷った時は、このようなメリットがエレクトーンにはあるんだなぁと参考にしてみてください。

 

可能性が広がる楽器だけど難点も

やってみてわかったのですが、ピアノとエレクトーンは全くの別物です。エレクトーンの最大の魅力は、他の楽器や機械なく1人で豪華な演奏ができるということ。でも難点は、ピアノのようにどこにでもあるわけではないので、簡単に披露したり魅力を伝えたりできないところです。あと、電気がないと演奏できない、楽器の値段が高いというところもあります。

ピアノのいいところはやっぱり音。エレクトーンにはないアナログ感が個人的には好きです。エレクトーンのように自由に音を変えたり表現できない分、演奏の技術や曲を理解して表現することが問われます。

私はレッスンで習った曲よりも、自分の好きなヒット曲や映画音楽を思いっきり弾いて楽しむのが大好きでした。大好きな曲をCDで聞くよりも自分で弾きながら歌ったり、お気に入りの映画音楽を映画の場面を思い描きながら弾いて楽しむのが、とても気分がよくストレス解消にもなっていました。

小学校高学年になってくると、レッスンでは、コード進行や即興演奏などヤマハのグレード試験を受けるための練習がメインになります。ヤマハのエレクトーングレードには13級から1級まであり、レッスンを受けている子は、だいた10級から受け始め6級まで受けられるような指導を受けます。5級から3級は指導者を目指すための上級レベルになり、1,2級はさらに高度な演奏者を目指すためのグレードです。

私は6級まで合格し、5級に何度も落ちて挑戦しているところでやめました。当時の私はコード進行や作曲を難しく感じ、正直興味がわかなかったことから、レッスンに行くよりも好きな曲で楽しむ方を選んだのです。

しかし、レッスンをやめてから大人になっていろんな経験をしていくうちに、もっと音楽をいろんな角度から楽しむ方法を知っていれば良かったなと思っています。それは、聞いた音をすぐに弾けたり、自由にアレンジしたり作曲したり、人の動きや場面に合わせて演奏できたり。まさにグレード試験の5級から3級に受かるレベルであったら、このようなことができてもっと音楽の世界が広がっていたのではないかと思います。

もし、グレード試験の5級で苦労していたら、試験を受けないと決めたとしても自由にアレンジしたり作曲したりできるレベルまで続けることを私はお勧めしたいです。

今になって思うのが、エレクトーンばっかりやってたから楽器の名前はわかるけど、実際に見たことない楽器がたくさんあるなと。だからこれからはオーケストラなどの生の演奏を見に行きたいなと考えるようになりました。

エレクトーンやピアノに限らず、音楽をやっていると感情が豊かになるし、他の楽器に挑戦することで人生の楽しみが広がります。

15年以上習って大人になって思うこと

習っていた頃は、大好きな曲を思いっきり弾くだけで満足していました。しかし、大人になってみて、もっとこんなことを身につけておけばよかったなと思うことがあります。

  • エレクトーンはなかなか披露する機会がないので、ピアノやギターなどはどこでも気軽に楽しめるため、合わせて他の楽器も弾けるようにしておくと役に立つと思う

  • もっと自由に音楽を楽しむために、楽譜通りに弾くだけでなく、アレンジや作曲もできたらよかった

  • 子どもの頃はコードを覚えるのが難しく挫折したが、コードのみを見て自由に弾くことや曲の構成を把握するために、あの時しっかり覚えておいたら、より世界が広がり音楽を楽しめたのではないかと考える

  • 私は色んな楽器の音はわかるけど実物がわからないため、エレクトーンを演奏する時にその楽器の音色を使う時は、実物の楽器や演奏の仕方を知ったらもっと上手くなると思う

エレクトーンは他の楽器と違って、色んな楽器の音が出せる機械のようなものです。そのため、一つの楽器としてではなく様々な楽器や音のことをもっと知って、その上で演奏し曲の表現ができたら素晴らしいエレクトーン演奏者になれると思います。

最後に

1人でオーケストラ並みの演奏を奏でられるエレクトーンの魅力がわかっていただけましたでしょうか?エレクトーンは私が習っていたころのように、豪華な演奏を弾いて楽しむ人もいるし、楽器の自由な特徴を活かして作曲したり、音響として活用したりと楽しみ方は様々です。

もし私の幼少時代にYouTubeがあったら、私も826askaさんのように有名になれたかしら〜なんて思ったり。音楽を始めるのは早い方がいいですが、情熱さえあればいつだって始めることはできます。音楽は人生を豊かにしてくれることは間違いないと感じています。


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