韓国で「多文化家族」が受けられる支援とは?私が体験した講座を詳しく紹介!

韓国では、私のように韓国人と結婚して韓国に移民している外国人が年々増えています。そんな韓国人と外国人の家族のことを韓国では「多文化家族」と呼んでいます。韓国人と結婚して移民してきた外国人は、早く韓国に慣れ安定して生活ができるよう、色々なサポートや無料の韓国語講座などを受けられるんです。

そのような支援はどこで受けられるのか?というと「多文化家族支援センター」というところです。韓国全国の各地区にあり、韓国のことを全く知らなくてもここに行けば、韓国の情報はもちろん、就職するための支援や教育なども受けられ、外国人のお友達までできてしまいます。韓国に移住したら利用しない手はないですね!

今回はこの多文化家族が受けられる支援についてと実際に利用してみた講座の体験談を紹介したいと思います。


多文化家族支援センターを探すには?

まず「多文化家族支援センター」を探すには、多文化家族支援ポータルサイト「タヌリ」にアクセスします。このサイトでは近くのセンターを探したり、受けられる支援の内容を確認したりできます。

韓国の生活情報や多文化家族についての情報はこのサイト「タヌリ」で得られる

韓国で何か困ったことがあったら、タヌリのコールセンターに電話で日本語での相談もできますし、「タヌリ」サイト内を確認すればある程度のことは解決できますよ!

このサイトは13か国語に翻訳されていて、日本語で見れるのが便利です。アプリもあるので携帯にもダウンロードしておくといいです。結婚移民以外の留学生や駐在の方も、韓国の文化や生活ガイドブックをこのサイトで見ることができるので、韓国生活に早く慣れるために活用できると思います。

では近所の多文化センターを探す方法を見ていきます。まずは「タヌリ」ホームページの左側に最寄りのセンターを検索するところがあるので、自分の住んでいる地域を選択し検索します。または上部にある項目「多文化家族支援センター」をクリックすると以下の画像のページになります。

上の画像のページの地域検索から自分の住んでいる地域を選択して検索します。するとその地域の多文化家族支援センターが出てくるので、近くのセンターの詳しい情報や位置を地図で確認することができます。

多文化家族支援センターの講座や支援を利用するには、まず直接センターを訪問してそのセンターの会員登録をしなければなりません。会員登録する際は、「外国人登録証」「家族関係証明書」を持参していく必要があります。会員登録をしたら、参加したい講座やプログラムに申し込むことができます。

結婚移民外国人はどんな支援が受けられるのか?

このセンターを利用できるのは「多文化家族」に該当する人で、法律上で多文化家族とは、韓国国民と婚姻関係のある在韓外国人または韓国籍に帰化した人と韓国籍の人から構成される家庭となっています。

多文化家族支援センターで受けられるサービスは、地域やセンターによって多少変わってきますが、以下のようなものがあります。

  • 韓国語講座:レベル別韓国語講座、TOPIK対策講座など
  • 翻訳・通訳:センターごとに1~4か国語の通訳・翻訳をサービスしている
  • 相談・ケース管理:家族関係の問題や法律に関する相談など
  • 社会適応教育・就業教育:韓国社会についての基礎教育や就業するため知識など
  • 家族教育:夫婦教育、家族関係改善プログラムなど
  • バイリンガル環境づくり:2重言語を使うための家庭環境の作り方や活用方法などを教えてくれるサービス

これらの教育は無料で受けることができます。私は結婚する前は多文化家族支援センターのことを知らなかったので、韓国の大学の語学堂にお金を払って韓国語を習いに行っていました。1学期200万₩(18万円)以上していたのですごくもったいなかったです。

これから韓国人と結婚して韓国語を勉強しようとしているなら、多文化家族支援センターの韓国語講座を利用した方が絶対にお得です!

まだ結婚していない人でも、結婚する予定のある人は一度センターに行ってみて相談してみてはどうでしょうか?同じセンターに通っていた人で、結婚予定の方も韓国語講座を受講されていた方がいたので一度センターに聞いてみてください。

また、妊娠中や赤ちゃんがいてセンターに通うのが難しいという方のために、訪問教育という方法で韓国語講座を受けることもできます。私の友人は子どもがまだ小さかった頃に、センターの支援で韓国語の先生に家に来てもらって韓国語を勉強していました。

子どもがまだ小さいけど保育園にも行っていないし、預ける人がいないという場合は、センターに託児所があれば授業の時間に限り無料で子どもを預けることができます。一度近くのセンターで確認してみてくださいね。

また、センターに行くのも家に先生が来るのも難しいという人は、タヌリのサイトに無料の韓国語オンライン講座があるので活用してみてください。

多文化家族が受けられる支援のまとめ

韓国で多文化家族が受けられる支援をまとめると、大きく以下のように分けられています。

生活支援
  • 中古のPC支給(사랑의 그린 PC 보급)
    多文化家庭に中古のPCを無償で支給し、情報活用能力を向上させ、情報格差を解消するのが目的。申請方法は、居住地の住民センターまたは「愛のグリーンPC」のホームページ。

  • 生活環境改善の支援(사회취약계층 실내환경 진단개선 산업)
    支援対象者は、経済的に困難な家庭と環境性疾患にかかった子どもの家庭。支援内容は室内環境汚染物質の改善と環境にやさしい壁紙、カーペット、塗料の改善。申請は居住地の市/群/区役所。

  • 多文化家族支援事業(다문화가족 지원사업)
    支援対象者は、結婚移民者又は大韓民国国籍を取得した人。申請方法や相談は、タヌリのポータルサイトかコールセンター1577-1366に問い合わせ。

  • 家族ケア支援(취약위기가족 돌봄지원사업)
    経済的に非常に困難な家族に自立できるよう支援。支援対象は生活危機に直面している家族、緊急の危機家族、離婚申請中の家族。申し込み・問い合わせは、健康家庭支援センター1577-9337。

  • 農家人材支援(취약농가 인력지원)
    事故に遭った場合、または病気を発生して営農活動が困難な農家に営農ヘルパーを支援。農村に居住する65歳以上の世帯と中位所得の50%以下の受給者家庭、多文化家庭などが申請でき、申請と相談は最寄りの農協へ問い合せ。

  • 結婚移民者通訳・翻訳サービス(결혼 이민자 통번역 서비스)
    入国初期の結婚移民者がスムーズに意思疎通できるように、出身国に合った通訳と翻訳サービスを提供。相談は全てタヌリコールセンター1577-1366に問い合わせ。
健康支援
  • 外国人労働者の医療支援
    外国人疎外層に医療費を支援し健康的な生活を支援。外国人労働者とその子ども、国籍取得前の結婚移民者と韓国人との子どもなどが申請可能。15自治体(蔚山、世宗除く)で申請できる。

  • 医療給与
    医療給与受給権者に医療費を支援。保健福祉コールセンター129番に問い合わせ。

この他にも多くの医療サービスがありますが、気になる部分については保健福祉部(日本で言う厚生労働省のこと)129番に電話で相談を受けることができます。

雇用支援
  • 就職成功パッケージ(취업성공 패키지)
    低所得者と就職困難者がプログラム(教育)に受講して就職に成功すると、成功手当を支給。相談・問い合わせは、雇用労働部1350番または居住する地域の雇用支援センターで申請可能。

  • 結婚移民女性インターン運営
    結婚移民女性に合った仕事を紹介し、インターンとして就職することで社会経験や就職を支援。問い合わせは、ヨソンセロイラギセンター(여성새로일하기센터 )1544-1199番。
教育支援
  • 多文化保育料支援
    保育園に通う子どもの保育料を支援して養育の負担を軽減し、経済活動に励むことができるよう支援。支援対象は満0〜5歳の子ども、申請は居住地の市町村/面役場を訪問。

  • 多文化家族訪問教育
    家庭の訪問韓国語教育、親の教育、子供の生活の教育を提供。問い合わせは、タヌリコールセンター1577-1366。

  • 多文化家族の言語発達支援
    子どもの言語発達のために体系的な教育を支援。

これらの支援は「복지로(ボクチロ)」のホームページを見ると、もっと詳しいことがわかりますよ。以下の画像が복지로(ボクチロ)のホームページです。

韓国の社会福祉サービスについて詳しく知ることができるボクチロのホームページ

上の画像のボクチロのホームページを下にスクロールすると、真ん中あたりに丸い国旗が4つ並んだところがあります。下の画像の日本の国旗があるところをクリックすると、日本語で在韓外国人や多文化家族が受けられる支援を確認することができます。

この国旗をクリックすると、下の画像が出てくる。

以下の画像のように、ボクチロのホームページから韓国で受けられる福祉サービスを日本語で確認することができてわかりやすいです。下の画像をクリックすると、最新の福祉情報を見られます。

多文化家族が受けられる福祉サービスだけでなく、韓国国民と同じように受けられる支援も詳しく知ることができる。

私の個人的な意見と友人からの話を聞くと、多文化センターの支援はソウルよりも地方の支援の方が手厚いような感じがします。しかし、教育プログラムの種類や講座内容はソウル市内の方が充実していると言えます。

多文化センターでは、事情があって結婚式を挙げられなかった夫婦のためにた無料結婚式の募集というのがたまにあります。多文化家族なら誰でも応募でき、場所は区庁などの決まった場所で、日にちや時間も指定されています。

ウェディングドレス、ヘアメイク、司会、結婚式の写真撮影(家族、友人写真など)が無料でできます。ただし披露宴などの食事は含まれません。こういったサービスも近くの多文化センターの掲示板やホームページを見るとわかります。

ここまでいろいろな支援を紹介してきましたが、多文化家族も含めて韓国の子どものいる家庭ではどんな支援が受けられるのか見ていきたいと思います。

韓国で子どもが受けられる支援とは?

対象者に該当すれば韓国国民と同じように受けられる支援には、以下のようなものがあります。

児童手当
  • 所得認定額が選定基準額よりも低い世帯の満0歳〜満5歳の児童に支給
  • 大韓民国の国籍、住民登録番号を持っている児童
  • 2人以上の全世帯の所得下位90%以下の世帯の児童
  • 児童手当は1人当たり10万₩(約1万円)
家庭養育手当
  • 所得に関係なく、満5歳以下の子どもを家庭で養育する場合に支給
  • 大韓民国の国籍、住民登録番号を持っている児童
  • 12ヶ月未満:20万₩(約2万円)
  • 12ヶ月~24ヶ月未満:15万₩(約1万5千円)
  • 24ヶ月以上~84ヶ月未満:10万₩(約1万円)
保育料支援
  • 保育園(어린이집)を利用する満0歳〜満5歳の児童に支給
  • 満0歳:44万1,000₩(約4万4千円) /34万4,000₩(約3万4千円)
  • 満1歳:38万8千₩(約3万8千円)/30万2,000₩(約3万円)
  • 満2歳:32万1,000₩(約3万2千円)/25万₩(約2万5千円)
  • 満3~5歳:22万₩(約2万2千円)
  • 満0~2歳のクラスは終日クラスと午後クラスで金額が異なる
教育福祉優先支援
  • 貧困層が密集している学校に在学中の「優先支援学生」を支援し教育・文化・福祉レベルを向上させ、教育格差を解消するのが目的
  • 条件に該当する者で、事業校の校長が総合的な教育支援が必要だと認定する者を支援
  • 在学する学校を通して申請

児童手当と家庭養育手当は、児童が海外に90日以上在留する場合には、支援が停止されるので、長期で一時帰国する場合などは注意しましょう。どちらも居住地の住民センターを訪問するか、ボクチロのホームページでオンライン申請ができます。

この他にも出産お祝い金などがありますが、住んでいる市町村や子どもの数によって金額が異なるので、知りたい場合はお住いの住民センターに問い合わせてみてください。

韓国では子どもを育てる環境と支援金額(出産お祝い金など)は、やはり人口の少ない地域の方が充実していますが、教育や社会体験の種類や機会は、都会の方が多く質が良いという意見の人が多いようです。

多文化家族の支援がありがたいと思う時

私は結婚する前、結婚後、妊娠出産、子育てで10年くらい韓国で過ごしながら、多文化家族への支援があってよかったなと思う時がたくさんありました。

特に韓国に移住してきたばかりの頃は、頼れる人があまりおらず、韓国人も外国人が韓国で何に困っていてどうしたらいいのかは意外とわからないものです。そんな移住初期では、多文化家族支援センターを利用することで、専門の相談員に困ったことを通訳してもらいながら相談できたり、共感できる友人に出会えたり、無料で色んな教育を受けられるので、韓国のことを早く知って慣れるのに役立ちました。

また、センターで働いているスタッフの方もみな親切で、どんなに下手な言葉でしゃべっても聞いてくれて丁寧に教えてくれました。そんな所が韓国にあるというだけでも、外国人が生活していく上でとても心強い存在だなと思います。

また子どもを出産してからは、多文化家族ということで優遇を受ける機会が増えたなと感じるようになりました。例えば韓国の保育園を待機するときは、待機順位が優遇されます。でも実際には、共働きや子どもが多い家庭などと同じように優遇されるというだけで、そんなに順位が上がるというわけでもありません。

小学校に入ると、日本の部活動のような「放課後学校プログラム」というものがあり、韓国では外部から先生が来て色んな授業をしてくれます。その授業料が少し優遇されたり、人気のプログラムに優先的に参加できたりということがあります。ただ、地域や小学校によって異なるので、詳しい内容は通っている小学校に問い合わせてください。

他にも、多文化家族を無料で招待してくれるミュージカルやオーケストラの公演などがあります。これも多文化センターに会員登録をしているとそのようなお知らせが来ます。

韓国の郵便局では、多文化家族の人は母国にEMSで荷物を送る場合、料金が10%割引になるサービスがあります。利用する場合は「外国人登録証」か「家族関係証明書」を見せる必要があります。

またいくつかの金融機関には、結婚移民者なら金利が優待される商品があります。私が利用した商品にはKB銀行の「ヘンボク預金」という定期預金があります。期間は1年ですが条件を満たせば年6.75%の利息を受け取ることができ、満期になったらまた次の年も継続することもできるので、貯金をするのにお勧めです!

韓国生活に慣れてしまうと見逃している無料のサービスや優遇制度などがあるかもしれないですよ。まだ利用していなかったら、多文化家族が受けられるサービスについてアンテナを張ってみてください。

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私が参加した講座「バリスタ資格証講座」

私は2013年に最寄りの多文化センターで「結婚移民女性準バリスタ養成課程」というプログラムに参加しました。バリスタとは、コーヒーの専門家のことで、コーヒーについての知識からエスプレッソを抽出する技術、カプチーノの作り方やラテアート、さらにカフェでのサイドメニューや接客についてを学びます。

バリスタの講座は多文化センターの職業支援の一環で、バリスタとしてカフェで働けるよう訓練するための教育プログラムです。韓国はコンビニよりカフェが多く、したがってバリスタの就職先も多いということで当時この講座は人気がありました。

この講座ではバリスタ2級の取得を目指すというものでした。将来カフェを起業したい人やカフェで即戦力として働きたい人向けの資格です。でも実際には資格は必ず必要というわけでもなく資格がなくてもカフェでは働けます。

どんな人がこの講座を受けに来ていたかというと、人数は15人くらいでやめていく人もいたので、途中で減ったり増えたりしました。国籍は日本、中国、ロシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムといった感じでした。年齢は20代後半~60代くらいで新婚から子育てが終わった世代と様々でした。

この講座は保証金として10万₩(約1万円)を払わなければなりませんでしたが、講座に80%以上出席したら修了証と共に全額返金されます。なので、しっかり出席すれば講座費用は無料です。費用は無料ですが、教科書やエプロンなどは別途で自費になります。

普通の韓国人にも人気のバリスタ資格取得講座は、バリスタ学院などの塾に通って授業を受けると、週2回2時間授業の14回前後で約50万₩~60万₩(約5万円~6万円)です。なので無料でバリスタの講座が受けられるなんて!と当時興奮した私はすぐに応募しました。

多文化センターに来てくれた先生は実際にバリスタ学院で講師をしている先生です。私が多文化センターで受けた授業は週1回3時間授業で、計22回の約6か月間受講しました。今思うと週1回しかないのでとても長い期間だったなと思います。講座のある日は旦那に時間をとってもらい、当時1歳半だった息子を旦那に預けて講座に参加していました。

実はそれまでの私はコーヒーにあまり興味がなく、本気でバリスタを目指したかったわけでもなく、韓国でお金を稼ぐ手段を増やしておきたかったという理由となんだか楽しそうという好奇心が大きく講座を受けることにしたのです。そんな薄っぺらい理由で始めたバリスタ講座ですが、やってみると楽しくていつの間にか本気でバリスタの資格を受けるために勉強していました。

資格試験には筆記と実技があります。まず筆記試験に合格したら実技試験が受けられるので、外国人にとって筆記試験は大きな壁になります。しかし、教科書を何度も読み問題集を何回も解いているうちに試験問題のパターンや韓国語にも慣れてきました。バリスタの試験勉強は韓国語を勉強して以来久しぶりの勉強でした。努力の甲斐があって無事筆記試験に合格できました。

そして他に合格している仲間たちと一緒に、多文化センターの支援で「バリスタ就業深化過程」というプログラムを受講しました。こちらも費用は無料です。内容はバリスタ2級実技試験の対策です。授業は週1の2時間半計5回。

それだけでは実技の練習が足りないので、空いている時間に一緒に練習できる人と多文化センターのエスプレッソマシーンを借りて練習しました。この時は自費で買った練習用のコーヒー豆と牛乳でカプチーノやエスプレッソの実技の練習を積み重ねました。

こういった練習で買ったコーヒー豆(1㎏で3,000円くらい)や牛乳代(1本約200円)を考えると、バリスタ講座は結構お金がかかってしまっています。しかしその過程で一緒に頑張ってきた同じ境遇の仲間に出会えて、色んな話をしたり同じ目標に向かって頑張った日々は、今の私にとって貴重な時間であったし大切な思い出となっています。

実技試験は韓国で一番緊張したのではないかと思うくらい緊張しました。あまりの緊張に手が震えてしまい、エスプレッソに注ぐスチーミングミルクも震えて、実技試験では何をしたのか正直記憶がありません(笑)でも結果は合格!

バリスタ2級の資格証

一緒に受けた仲間も無事バリスタ2級の資格に合格して、多文化センターの先生もみんなで喜びました。資格取得までに講座を受講してから10か月くらい経ってしまいましたが何とか合格できました。

多文化センターの教育講座を修了すると、このような修了証がもらえる

そして多文化センターでは、各教育プログラムに参加して修了すると、上の写真のような修了証が渡されます。私は使うことが今だにありませんが、この修了証は今後韓国での就職時やその他資格証明として使うことができます。

バリスタ資格取得後は…

資格取得から1年半後、ちょうど多文化センターで職業訓練のためのカフェをセンター内で運営するということで声がかかり、そこで就業訓練のために時給6,500₩(約605円)でバリスタとして働くことになったのです。

ちなみに当時の韓国の普通のアルバイトの時給は7,000~8,000₩(約700~800円)、2019年7月現在では時給8,000~10,000₩(約800円~1,000円)で人件費は上がっています。私は職業訓練ということで少し安い時給で働かせてもらっていました。

カフェでは、実際にお客さんから注文を受けてレジでお会計し、メニューを作って提供するということを一人で行いました。スタバのような本格的なカフェではないけれど、小さな屋台のような規模のカフェで、訓練をするにはちょうど良い規模と忙しさでした。

日本でもカフェでアルバイトをしていたことがあったので、接客やレジなどの作業自体は簡単でしたが、韓国語で接客しお話しするというのに慣れていないので難しく楽しくもありました。

そのカフェではコーヒーだけではなく、多文化センターの特徴を活かしたベトナムコーヒーやガラマンシーなどの異国感のあるドリンク、さつまいもラテなど季節のメニューも自分たちで考えて作りました。またエスプレッソマシーンの管理や価格設定、看板の設置やメニュー版の書き方などコーヒー以外のこともたくさん学べました。

その後このカフェである程度の期間訓練をしたら、多文化センターから実際のカフェで外国人を募集しているところに斡旋され、就職という形になっていきます。私はこのカフェでゆるーく半年ほど働きましたが、実際のカフェでは夜の時間帯に求人が多く、一人で子育て真っ盛りの私はカフェに就職しませんでした。

多文化家族の行事や交流イベントに参加

多文化センターで何か一つの講座やプログラムに参加すると、「今こんな講座やプログラムもあるんだけど参加してみませんか?」というお誘いが多くなります。今通っている人たちに声をかけた方が、センターに来てるついでに他のプログラムや講演にも参加しやすくなるという理由で声がかかるのかもしれません。

私がバリスタで毎日のように多文化センターに通っていたころは、あっちからもこっちからも色んな声がかかり、一時期は日本語の通訳や翻訳までしていました。これは完全にボランティアでした。

その一つに当時通っていた多文化センターの地域で、毎年多文化交流のお祭りがありました。そのイベントの一部で多文化家族コーナーという形で、結婚移民のバリスタが提供するカフェ、民族衣装を着たり伝統楽器を手作りしたりする異文化体験コーナーがあります。そのカフェを私もお手伝いすることになったのです。

いつもはセンターの室内でコーヒーを作っていましたが、お祭りでは屋外です。カフェで使うエスプレッソマシーンは屋外用にレンタルしたものでいつものと勝手が違うものでした。そのため、お湯が出ないとかエスプレッソの抽出が遅いなどトラブルだらけでしたが、それもいい経験になりました。

昨年は初めて多文化交流のお祭りにお客として家族で参加しました。毎年規模や内容、ゲストとして来る歌手など変わります。去年は大学の敷地内で開催されたためか学園祭のような雰囲気で、私がお手伝いした時とだいぶ変わっていました。

その一角にあった多文化家族のブース。そのブースにあるイベントに参加すると、シールがもらえて全部集まったら、多文化ブースのカフェが割引になるという仕組みでした。

私は子どもたちと一緒に、多文化ブースにある民族衣装で写真を撮ったり、ゲームをしたりしてシールを全部集め、私は割引でコーヒーを子どもたちはお菓子をゲットしお祭りを満喫しました。

韓国では移住外国人は年々増えているとはいっても、実際に生活していると周りは韓国人がほとんどのように見えます。私のように韓国人に馴染んでしまっているアジア人も多いです。このような多文化の交流やイベントに参加すると、新しい体験や異文化に触れられて子どもたちにもいい経験になるなと感じています。

多文化家族として韓国で生きるということ

韓国では夫妻のうち1人が外国籍か韓国に帰化した人であれば「多文化家族」に該当します。そのため支援が本当に必要な人もいれば、所得もあり支援が特に必要のない人もいます。「多文化家族」という枠には、どちらか一方が外国籍や帰化した人がいるっていうだけで、所得関係なしに様々な支援が受けられるのです。

そのような現状の中で、韓国国民の低所得者や本当に支援を必要としている人に、サービスが行きわたっていないのではないかと主張する人たちもいて、「多文化家族」をあまりよく思わない人もたまにいることも心にとどめておきたいです。

韓国は特に人口減少の問題が深刻であるためか、外国人に対する支援やサポートが日本より進んでいるなと感じることがあります。保育園の授業ではすでに多文化理解についての授業が園児たちに定期的に行われていて、これからは外国人がより身近になり差別や偏見が無くなっていけばなと期待しています。

私は多文化家族支援センターを利用して、必死になって外国人のために尽くしてくれている韓国人の方々にたくさん出会い、私はここで頑張らないといけないんだなって前向きな気持ちになりました。

また、国は違っても同じように韓国に移民してきた外国人の友人ができると、色んな話が聞けて楽しくなります。もしあなたが多文化センターをまだ利用していなかったら、ぜひ行ってみてください。


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