アジアの多くの国が旧正月をお祝いするように、韓国でも旧正月をメインでお祝いします。旧正月をより大事に考える韓国では「トック」という食べ物を食べるんです。それはどんな意味や由来があってどんな食べ物なのか詳しく紹介!
また、旧正月は旧暦なので毎年日にちが変わりますね。では2021年の旧正月「ソルラル」はいつからいつまでなのか、韓国ではその連休にはどのように過ごしているのかも合わせて紹介したいと思います。
韓国の旧正月で食べるもの
日本のお正月の食べ物と言えばおせち料理やお雑煮ですよね。では韓国はというと、「トック(떡국)」というお餅の入ったスープを食べます。それ、お雑煮と同じじゃん!と私も思いました。韓国でも何かのお祝いの時にはお餅を食べることが多いんですよ。
具体的に「トック(떡국)」とは、「トッ(떡)」=「お餅」「クッ(국)」=「汁物、スープ」を合わせた言葉で直訳すると「お餅スープ」となります。
トック(떡국)の特徴
- お餅はうるち米から作った餅
- お餅の形状が薄く平たい銭形
- お餅は食べても伸びない
- 野菜は少なめシンプル
- スープや味付けは地域(家庭)によって異なる
- お正月に限らず普段も食べる
お雑煮と異なる点は、韓国ではトックを普段も食べているということだと思います。私が韓国に移住して感じたのは、日本より韓国の方がお餅を食べる機会が多く、どの地域に行っても身近にお餅の専門店が必ずあるということが言えます。また韓国ではおやつ感覚でお餅を食べることが多いような気がします。
トックのお餅は、米粉を練って作ったお餅を棒状に伸ばし、それをスライスして薄く切ったもの。もちろん、炒めたり焼いて食べてもおいしいですよ。薄いので他の料理にもアレンジしやすいなと感じます。
日本のお雑煮も地域によって味付けや入れる具材など様々ですよね。同じように韓国でも地域や家庭によってお餅の形からスープの種類、具材など異なります。ですが、一般的に「トック(떡국)」と言うと以下のようなものが広く認知されています。
実はスープと餅さえあれば手軽に作れるんです。スープは牛骨や豚骨、鶏などの動物系、炒り子などの魚系、野菜だしなど様々ですが、お店などでは牛骨スープで作っている店を多く見かけます。
好みで肉や野菜、卵など入れ、ネギや海苔、ゴマなどをトッピングしたら完成。スープの味加減は、醤油、ニンニク、塩などで調整します。簡単なので軽く食事を済ませたい場合にもよく食べられる料理です。
このようにトックは白いお餅に白いスープというビジュアル。ではなぜこのような料理になったのでしょうか?
トックの意味や由来は?
日本のお雑煮には、餅=長寿、菜・鶏=縁起を担ぐなどの意味がありますが、韓国のトックにはどんな意味、由来があるのでしょうか。
トック(떡국)の意味
- トックは無病長寿を表す食べ物
- 新年に食べることでトックを食べたら1歳年を取ることを意味する
年初めに健康と長寿を祈願するということ - お餅の種類はカレトッ(가래떡)=棒状の細長い餅=長寿
カレトッ(가래떡)をスライスした餅=銭形の餅=物質的な豊かさ - 「白色」は陰陽の「陽」を表す
太陽が早く沈む冬は陰の気が強いため、陽の気を増やすために白い食べ物を食べる - 薬味に牛肉またはキジ肉を使う
昔は牛肉は高価で買えずキジ肉は貴重であったことから、「鶏肉」をトックに入れることが主流になった。そのことから「キジの代わりに鶏」ということわざが生まれた。韓国ではよく使われることわざで、「必要なものがない時は似たもので代用する」ことを意味する。
日本は伸びるお餅を長寿と考えますが、韓国では細長く棒状に作る餅から長寿ということで微妙に異なっていますが、お餅は長寿を表すことというのは同じですね。また韓国の地域によっては雪だるまのような形をしたお餅を入れたトックがあります。
我が家は、旦那の実家が全羅南道なので、ソウルで一般的な「トック」とは少し違います。鶏を丸ごと煮出したスープに醤油などで味付けした「タッジャン(닭장)」のスープでトックを作ります。鶏を煮出す工程で骨や油を取り除くので、透明感があり、鶏肉入りであっさりヘルシーなスープです。
私はこのタッジャンスープにラーメンを入れたくなるのですが、この地域ではお餅やそうめん,うどんなどを食べる時に使い、仕上げに溶き卵でとじ、刻みネギなどをトッピングします。シンプルですが、薄い餅なので食べやすく、お年寄りや子どもたちもペロっと食べてしまいます。
トックだけ食べても十分なのですが、韓国なのでやはりトックのお供はキムチ!辛味が無いと物足りないと感じる韓国の方は、トックや韓国のうどんなどを食べる時もキムチと一緒に食べる習慣があります。
その他に旧正月で食べる料理は、上の画像で左上トックの下からキムチ、チャプチェ、水キムチ、右上からカルビッチム、3色ナムル、3色ジョン、シッケなどがあります。ちなみにこの画像は、旧正月の料理セットとして販売されている冷凍食品。最近は作るのが大変という人も多いので宅配サービスや冷凍食品などを利用する人も増えています。
私はこのようなセット商品を利用したことはありませんが、韓国では旧正月の時にお嫁さんたちが朝から晩までこのような料理をたくさん作るのはとても大変な大仕事なのです。
では韓国の旧正月であるソルラル、今年はいつからいつまでなのでしょうか。また大量に料理を作る理由とソルラルに何をして過ごすのかを紹介していきます。
2021年の旧正月はいつ?
ソルラルとは韓国の旧正月のことを言います。2021年のソルラルは2月12日金曜日。ソルラル当日を含めて前後3日間を祝日にするので、今年のソルラルの連休は、土日にかかっているため2月11日木曜日から2月14日日曜までとなります。
よって、今年のソルラルの連休期間は2月11日(木)~2月14日(日)の4日間です。
ソルラルは韓国の新年をお祝いする最大イベントであり、伝統的に家族や親戚と集まり一緒に過ごします。しかし今年はコロナの影響もあって、イベントや宿泊施設での人数が制限されていることもあり、例年よりひそやかな雰囲気となりそうです。
いつもなら、ソルラルの連休前はソウルや釜山などで働く人たちが、故郷に一気に帰省するため動くので、公共交通機関や道路がとても混雑します。バスや列車のチケットを取るのも難しい時があります。
ソウルではソルラル当日は、多くの店が閉まりガランとしていていつもより静かになります。そのため、この時期に観光する際は普段よりタクシーやバスも少なく、閉まっている店も多いので注意してくださいね。
ソルラルに何をするのか?
韓国のソルラルでは何をして過ごすのでしょうか。伝統的な儀式をする家だと以下のような流れで過ごしている人が多いと思われます。
ソルラルにすること
- 茶礼(チャレ):ソルラルの朝に行う祭祀
- 徳談(トクダン):今年が良い年になりますようにとお互いにとって良い言葉を交わし合うこと
- 歳拝(セベ):年下の人が年上の人に新年の挨拶をすること
- お年玉(セベットン)
- 食事:下げたお供え料理を朝食に頂く
- 墓参り
- 親戚訪問/親戚対応
これらはソルラル当日に行います。先祖を祀っている家に家族が集合し、茶礼でお供えする料理を準備するために、前日は特にお嫁さんたちは大忙しなのです。家族によって差はありますが、一般的な茶礼の祭壇は下の動画のように料理が並べられます。
地域の特産物を置いたり、家によって決まりがあったりとしますが、品の数が多く並び方にも決まりがあります。私は最初に見た時、ものすごい種類と量の多さにびっくりしました。これだけの種類のものをこの時のために1年に2回(お盆のチュソク、正月のソルラル)に準備しなければならないなんて、お金も労力もかかりますし本当に大変です!
我が家は先祖を祀っている本家なので、当日は朝5時くらいから茶礼の準備をし、夜明け前に儀式を終わらせるようにしています。茶礼は男性が中心に儀式を行うので、女性は準備と片付けをするという感じです。
儀式が終わったら歳拝(セベ)という新年の挨拶をして、セベットンというお年玉をもらいます。男女で挨拶の仕方が違うので下の動画を見てみてくださいね。
茶礼が終わったらお供物を下げて朝食です。朝食をとってひと段落したら、家から車で3分ほどの所へお墓参り。お墓参りは息子含めて男性たちだけで行きます。その間女性たちは家の片付けや親戚対応などに追われます。この辺の順序は家の都合やお墓の位置によってまちまちだと思われます。
その後大人たちは久しぶりに会った家族親戚たちと、朝からお酒を飲んでのんびりと過ごします。この時にお客さんを振舞うため、お嫁さんたちは前日に大量の料理を準備しておかなければならないのです。前日の大量料理の準備、茶礼、挨拶、お墓参りが終われば、もうソルラルはほぼ終わったようなものです。
連休が長いと子どもたちは、家でテレビやゲームばっかりで退屈してしまうので、民俗村やテーマパークなどソルラルのイベントを行っている場所に行くと雰囲気を味わえて楽しいですよ。主に韓国の伝統遊びを体験できるところが特設で設けられたりしています。
ソルラル当日は、お店やテーマパーク、ショッピングモールなどほとんどが休日になりますが、大体次の日は営業しているところが多いです。そのため、ソルラル当日はゆっくり家で過ごし、次の日から遊びに行くというパターンが多いような気がします。
韓国旧正月のまとめ
旧正月に韓国で食べる物と2021年のソルラルはいつからいつまでなのか、そしてソルラルにすることや過ごし方などを紹介しましたが、いかがでしたか?
基本的に韓国の方はスープ料理が大好きなため、種類が豊富でよく食べる習慣があるなと感じられます。特にソルラルを迎える1月末~2月上旬は最も寒い時期。そんな時期にトック떡국はもちろん、あつあつのスープ料理を食べれば、体の芯から温まり極寒でも頑張ろうという気になりますね。
近年ではゴミや環境問題のため、以前よりも茶礼の料理を簡単に必要な分だけ用意するようになってきています。都市部ではおかず屋さんで必要なおかずだけをそろえたり、冷凍食品などで済ませたりする家族も多くなっています。
茶礼にこだわらなかったり行わない家族は、ソルラルの休日は家族そろって外食したり、旅行したりと普通の連休のように過ごす人もいます。とにかくソルラルには家族に会うということが1番の目的。今年のソルラルも楽しく迎え、新年がいい年になるよう願いたいですね。
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