2019年から2020年のインフルエンザは例年と比べ、早い時期から流行しています。インフルエンザの予防には予防接種が効果的。ではインフルエンザの予防接種の効果期間はどのくらいなのでしょうか?
今年の流行の傾向では、いつ予防接種をしたら、インフルエンザの流行ピークに合わせてワクチンの効果を発揮することができるのか、またインフルエンザにかかってしまった場合、潜伏期間にはどんな症状がでるのかを紹介したいと思います。
2019-2020年インフルエンザ予防接種の効果はどのくらい?
まず、インフルエンザ予防の基本は、インフルエンザが流行する前に予防接種を受けること。水疱瘡やはしかなどと違い、インフルエンザは繰り返しかかってしまう病気だからです。たとえ予防接種をしてインフルエンザに感染してしまっても、予防接種は合併症による重症化(急性脳症や肺炎など)を防ぐのにも大変効果的なのです。
では、例年のインフルエンザの流行時期と予防接種について確認します。
- インフルエンザの流行時期は、12~3月頃が一般的
- 一番の流行のピークは、1月末~3月上旬
- 予防接種後、免疫が得られるのに約2週間かかる
- 予防接種の効果期間は約5ヶ月間
- 予防接種は11月から遅くとも12月上旬までが理想的
このような傾向がありますが、2019-2020年のインフルエンザは例年よりピークが早まっているのが特徴的です。日本で流行しているインフルエンザはA型とB型。A型には、H1N1(2009年に流行した新型インフルエンザと同じ亜型)やH3N2(香港型)があります。
上のグラフは点線が2018-2019年のインフルエンザ報告数、実線が2019-2020年の報告数です(2019年12月現在)。実線の赤い線を見てみてください。去年のピーク数までは行っていませんが、今シーズンのインフルエンザはシーズン最初の9月の時点で昨年より明らかに多いのです。
関西福祉大学の勝田吉彰教授によると、2019年は日本でラグビーのワールドカップが開催されたことにより、インフルエンザ流行中の南半球の人たちが一気に日本へ集まったことも今シーズンの流行が早まったことに関係しているのではないかということです。
また、インフルエンザシーズンの初期9月頃だと、まだインフルエンザに敏感ではない人が多く喉エチケットを守らなかったために感染が広まってしまったということも勝田教授は指摘しています。咳による飛沫感染を防ぐためにはマスク着用を心がけたいですね。
現在日本のどの地域で何のインフルエンザが流行っているのかを一目で確認できる国立感染症研究所インフルエンザ流行レベルマップがあります。日本地図で表示されており、1週おきに流行状況が更新されているので大変参考になります。自分の居住地域が要注意なら警戒と対策が必要です。
2019年は9月から12月にかけて主にインフルエンザA型(新型)の方が流行しています。去年は12月頃から急にA型(香港型)の方が流行し始めました。今年も例年と同じ流れならば、インフルエンザA型(香港型)がこれから流行するのではないかと考えられます。
このように時期や地域によって流行るインフルエンザの種類が違い、ウイルスも進化しているため、予防接種したからと言って感染しないわけでなく、また予防接種をいつ受けたかによっても効果が変わってきます。
ワクチンを接種して3~4か月後には、ワクチンの効果が低下してきますが、体内にインフルエンザウィルスが侵入すると免疫系が活発化し抗体の量が増えるため、ワクチンの効果がもう少し長く続く可能性があると言われています。
ワクチンの効果期間は接種してから約5か月間ということなので、例年ピークの1月~3月に効果期間を合わせるならば、4か月前の11月~12月に予防接種を受けると良いということになりますね。
ただ、今シーズンは初期の9月からインフルエンザにかかった人が例年より多く、ワクチンの接種が間に合わなかったという人もいたのではないかと思われます。もし、周りにインフルエンザにかかった人がいたり、学級閉鎖になるほど流行っていたら、まだ流行時期でなくても重症化を防ぐためにすぐに予防接種を受けた方が良いと思われます。
インフルエンザの潜伏期間に出る症状とは?
インフルエンザの潜伏期間とは、インフルエンザウイルスに感染してから高熱などの病気の症状が出る前の期間のこと。インフルエンザはその潜伏期間がなんと1~2日と短いのが特徴!さらに、潜伏期間は自覚症状があまりないうえに、ウイルスの感染力は強いということです。
わずか1~2日の潜伏期間は自覚症状がほとんどないまたは感じないと言われていますが、
- 身体のだるさ
- 強い悪寒
- のどの乾燥
インフルエンザの前触れにはこのような症状があります。ところが、この期間があまりにも短いためこのような症状を感じたかと思うと急激に発症するのが風邪とは異なるインフルエンザの特徴なのです。
また事前に予防接種を受けていると、インフルエンザウイルスに感染したにも関わらず、ワクチンの効果で症状が風邪のように軽く済んでしまう場合もあることから、インフルエンザと気づかずに感染を広めてしまっている可能性もあります。周りにインフルエンザにかかった人がいる場合は、症状が軽くても受診することが望ましいですね。
しかもインフルエンザウイルスは、発症する1日前から感染力をもっているのです。ということは、ウイルスに感染した日=自覚症状がない状態にもかかわらず強い感染力をもっているため、接触したり飛沫感染したら、すぐに感染が広まってしまうのがインフルエンザの厄介なところです。
潜伏期間が短いということは、感染してから発症までが早いということ。ウイルスの感染力は感染して3日目が1番ピークになり、その後減少しおよそ1週間ほど持続します。そのため、感染してから1週間は周囲の人に簡単にうつってしまいます。
では発症したらどんな症状が出るのでしょうか。
- 38度以上の高熱
- 筋肉痛
- 関節痛
- 倦怠感
- 頭痛
- 咳、喉の痛み
- 鼻水
- くしゃみ
このような症状が急に現れた場合はインフルエンザだと疑い、ウイルスが減少する前の発症して12時間後~48時間以内に病院で検査を受けるようにしましょう。それ以降だと抗インフルエンザウイルス薬の効果が期待できないためです。
普通の風邪との違いは、急に全身症状が現れるということです。高熱はだいたい3~4日目くらいまでで、その後は咳など風邪のような症状が出て1週間くらいするとウイルスが体内から排除され平熱に戻ります。咳やくしゃみなどの症状が出ている時はマスクをし、周りの人への感染を防ぎましょう。
予防接種を持ておくことがインフルエンザには効果的ですが、その他の予防策としては以下があります。
主なインフルエンザの予防対策
- ストレスを溜めない
- しっかりと休養する
- バランスの良い食生活
- 体を冷やさない
- 手洗いうがい
- 加湿し湿度を50~60%に保つ
- 空気清浄機を使う
- マスクを着用する
ウイルスの侵入を防ぐために、日ごろから免疫力を高めておくことも重要です。規則正しい生活から栄養バランスの取れた食事、室内の湿度に気を使うことも大事です。インフルエンザを予防する食べ物についてはこちらの記事がおすすめ。
今回のまとめ
以上、2019-2020年インフルエンザの予防接種の効果期間と、感染してからのウイルス潜伏期間に出る症状について紹介しましたがいかがでしたか?
- 予防接種後、免疫が得られるのに約2週間かかる
- 予防接種の効果期間は約5ヶ月間
- 流行ピークが1月~3月なので11月~12月に予防接種を受けると良い
- インフルエンザの潜伏期間は1~2日で短く感染当日から感染力が強い
- 潜伏期間は自覚症状があまりないが、倦怠・悪寒・のどの渇きなどがある
- インフルエンザの風邪との違いは急激な全身症状
感染力が強く拡散を防ぐことが難しいインフルエンザ。流行シーズンはできるだけ人ごみを避け、人と接することが多い時はマスクを着用することを心掛けたいですね。
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